2024年3月総合大会で「Mobile Cacheを用いた被災情報共有システム」というタイトルで広島大学にて発表してきました(冨森俊貴)

はじめに

2024年3月4日〜8日に広島大学東広島キャンパスで開催された総合大会で「Mobile Cacheを用いた被災情報共有システム」というタイトルで発表させていただきましたのでその報告をさせていただきます。

研究概要

近年日本では多くの大災害が発生している.大規模な災害が発生した際,被災者は目的の避難所に向けて避難を開始する.このとき目的地までの道路上に災害の影響を受け通
行困難な箇所に遭遇した場合,避難者はその道路を迂回して目的地を目指す必要があり,故障している道路情報は速やかに周辺の避難者へ共有されることが望ましい.こういった状況での通信技術としてDTN(Delay-Tolerant-Network)技術が注目されている.DTNはアクセスポイントを設置できず,通信路を確保できない環境であっても,データ通信を実現する枠組みであり,これを使うことで,端末間で直接データを送受信することができる.このDTNを用いて避難者が遭遇した故障道路の情報を避難者端末から別の避難者の端末へ送信し,これを繰り返すことで故障道路周辺の避難者に情報を共有することが可能である.しかしこのようにして被災情報の共有を行う場合,端末間での直接通信を膨大な回数行う必要があるため,避難者端末の消費電力量が大きくなる.大規模な災害が発生した場合,携帯端末のバッテリーは非常に貴重なものであり,避難に必要な消費電力は可能な限り小さくすることが求められる.そこで本論では,一部の避難者端末を情報を中継するMobile Cache として選択し,他端末はMobile Cacheとのみ通信を行うことで避難者端末の消費電力量を削減する被災情報共有システムを提案する.このシステムでMobile Cache となった端末は周辺端末と比べ消費電力量が増加するため,状況に応じてMobile Cacheとなる端末を自律的に決定することで,一つの端末に消費電力が集中することを防ぐ.またMAS(Multi-Agent-System)を用いたシミュレーションを行い,Mobile Cache端末数,避難完了者数を評価する.その結果,時間経過に伴いMobileCache数が減少すること,時間経過に伴い避難完了者数は増加することを確認する.

総合大会2024_冨森

感想

日々の練習の成果もあり,それほど詰まることなく発表することができました。質疑応答では,初めての学会発表ということもあり,緊張から少し戸惑ってしまいました。久しぶりの新幹線に乗れて楽しかったです。