量子ネットワーク

近年、これまでのコンピュータとは全く異なる発想で情報を扱う量子コンピュータが注目されています。電子や光子といった量子は、多数の状態を確率的に同時に有する性質がありますが、量子ネットワークは量子ビットを用いて、多数の状態が重なり合った量子の状態を用いて多数の解のパタンを同時に解くことで、組み合わせ最適化問題など、従来のコンピュータでは膨大な時間を要した問題を一瞬で解くことができます。

しかし量子演算装置は大規模化が困難なことから、遠隔地に存在する多数の量子演算装置をつなぎ、全体として大きな量子演算装置を実現することが有効です。これら遠隔にある複数の量子演算装置をつなぎ、量子の重ね合わせの状態を維持したまま量子ビットを伝搬するのが量子ネットワークです。量子ネットワークは量子の有する「もつれ」現象を活用して、量子を伝送しますが、そのために用いられるのが量子もつれの状態にある量子のペア(EPR)ペアです。EPRペアの伝送には様々な制約があることから、量子ネットワークを実現するには解決すべき様々な問題があります。

そこで新たに2024年度より、EPRペアを用いて効率的・低コストに量子通信を行うための制御技術の研究に取り組んでいます。