
インターネットの「次」をつくる研究室
生成AI、動画配信、クラウド、IoT、6G、衛星通信、量子通信――これらはすべて、ネットワークなしでは動きません。上山研では、ネットワークを速く、安全に、賢く、持続可能にするための設計・測定・制御技術を研究しています。
研究経験がなくても大丈夫です。配属後は、基礎的な勉強、プログラミング演習、先輩との相談、教員との個別打合せを通じて、少しずつ卒業研究を形にしていきます。
数字で見る上山研
| 数字 | 意味 |
| 20名/20名 | 修士修了者全員が査読付国際会議に採録 |
| 平均1.2件/人 | 査読付国際会議の採録実績 |
| 平均5.3件/人 | 国内学会発表実績 |
| 約8割 | 4年生の本研究室大学院への進学率 |
2026年 研究室公開
5/28の研究室ガイダンスで用いた、上山研の紹介スライドはここから確認できます(少し修正済)。
先進ネットワーク研究室の説明会(研究室公開)を以下の日時に、先進ネットワーク研究室(H925)内で実施します。途中参加、途中退出は、いつでも可能です。ただ、お昼休みと、月曜・水曜の5時限の回は、最初に上山から研究室の説明を行いますので、できれば開始時刻までに研究室に来てもらえるとよいです。事前予約は不要ですので、気楽にご参加ください。複数回の参加も大歓迎です。3年生だけでなく、1年生や2年生も参加可能です。
迷ったら、まずは「上山 / 談話会」の回に参加してください。研究室全体の説明を聞いた後、先輩学生に研究内容や研究室生活について自由に質問できます。
特定の研究テーマに興味がある人は、以下の回もおすすめです。
- ネットワーク制御・配信最適化に興味がある人:制御・最適化G
- セキュリティに興味がある人:セキュリティG
- 衛星通信・6Gに興味がある人:衛星G
- 量子ネットワークに興味がある人:量子G
- 実装・P4スイッチ・実機評価に興味がある人:実装説明会
研究室公開の開催日時
| 日付 | 2時限 | 昼休み | 3時限 | 5時限 |
| 6/1(月) | 上山/談話会 | 上山/談話会 | ||
| 6/2(火) | セキュリティG | 上山/談話会 | 量子G | |
| 6/3(水) | 上山/談話会 | 上山/実装説明会/談話会 | ||
| 6/4(木) | 上山/談話会 | 衛星G | ||
| 6/5(金) | 上山/談話会 | 制御・最適化G | ||
| 6/8(月) | 上山/談話会 | 上山/実装説明会/談話会 | ||
| 6/9(火) | 上山/談話会 | 談話会 | ||
| 6/10(水) | 上山/談話会 | 上山/談話会 |
各回で、以下のことを行います。
- 上山: 教員からの研究室の説明
- 談話会: 研究室の先輩学生とのフリーな相談会
- 制御・最適化G: ネットワーク制御・配信最適化グループの研究紹介
- セキュリティG: セキュリティグループの研究紹介
- 衛星G: 低軌道衛星グループの研究紹介
- 量子G: 量子ネットワークグループの研究紹介
- 実装説明会: 実機スイッチなどの実装評価環境に関する説明会
先進ネットワーク研究室の特徴
上山研には、研究内容・実装環境・研究指導・学会発表・進路支援の面で、次の特徴があります。
1. 次世代ネットワークインフラを研究
生成AI、6G、衛星、量子通信を支える次世代ネットワークインフラを、速く、安全に、賢く、持続可能にするための設計・測定・制御技術を研究しています。
2. 理論・シミュレーションを土台に、実装・実験へ研究を拡張
上山研では、これまでネットワークをモデル化し、資源割当・経路制御・配信制御などを最適化する研究に多く取り組んできました。また、強化学習や計算機シミュレーションを用いて、複雑なネットワーク環境での適応制御にも取り組んでいます。
今後は、これらの理論・シミュレーション研究を土台に、P4スイッチ、DPDK、Linux、Mininet、CORE、国際テストベッドなどを用いた実装・実験研究も強化していきます。実装経験のある学生、サーバ・Linux・ネットワークプログラミングに興味のある学生、研究室の新しい実験基盤を一緒に立ち上げたい学生を歓迎します。
3. 学生が多数の学会発表を経験
学会発表は教育効果が高く、就職活動や奨学金の返済免除などの様々な観点でメリットがあります。学会発表の様々なメリットについては、こちらにまとめています。また学会発表を行った学生の参加レポートをこちらで閲覧できます。
これまでに学部3年生から研究室に所属した指導学生(福岡大学の学生を含む)の中で、20名が大学院修士課程を卒業しましたが、全員が1件以上、査読付国際会議に採録されています。学部時代と合わせて平均で査読付国際会議に1.2件の採録を果たし、また国内の学会発表を平均で5.3件、行っています。
大学院生は学会発表を多数行うことで、奨学金の返済免除や成績優秀者奨学金に選ばれやすくなります。学会発表を積極的に行う結果、成績の上位25%の学生が選定される大学院成績優秀者奨学金を、上山研の多くの大学院生が獲得しています。ここ数年は、毎年、SNコースの受賞者の約半数が上山研の学生でした。
4. 教員が研究テーマの入口を用意
研究経験のない3年生でも卒業研究を始めやすいように、教員が研究テーマの入口を用意します(研究テーマの提案も受け付けます)。未解決で、解く価値のあるテーマから始めることで、学会発表につながる成果を目指しやすくなります。研究が進んだ後は、自分のアイデアでテーマを発展させることもできます。
5. 大学院進学・研究発展に適した環境
大学院進学には様々なメリット(こちらにまとめています)がありますので大学院への進学を勧めています。これまでのところ、本研究室の4年生のうち約8割の学生が本研究室の大学院に進学しています。
研究テーマ
以下の4つの分野を中心に卒業研究・修士研究を進めています。
| 方向性 | 研究分野 | 一言でいうと |
| 賢く動かす | ネットワーク制御・ 配信最適化 | 混雑・遅延・配信効率を 測定し制御 |
| 安全にする | ネットワークセキュリティ | 攻撃や異常通信を検出し 防御 |
| 宇宙へ広げる | 低軌道衛星ネットワーク | 衛星と地上を組み合わせた通信を設計 |
| 未来に備える | 量子ネットワーク | 量子通信時代の経路制御・資源割当 |
ネットワーク制御/配信最適化
インターネットでは、動画配信、クラウドサービス、生成AI、IoTなどの普及により、ネットワークを流れるトラヒックが増大・多様化しています。また、地上ネットワークだけでなく、低軌道衛星ネットワークなど性質の異なるネットワークを組み合わせて利用する場面も増えつつあります。このような環境では、ネットワークの状態を測定し、混雑、遅延、不公平性、消費電力、配信効率などを考慮して、通信を適切に制御する技術が重要になります。
本研究室では、ネットワークを安定・高品質・高効率に運用するための制御技術や、コンテンツを利用者に効率よく届けるための配信最適化技術について研究しています。主なテーマは、例えば以下のようなものです。
- ルータと送信ホストが連携して細やかにパケット送信間隔を調整する技術
- RTTが異なるネットワーク環境における輻輳制御の公平性分析
- QUIC/BBRの動作パラメタを適応的に制御する技術
- 地上ネットワークと衛星ネットワークを組み合わせた経路配分最適化
- Anycast CDNにおける配信サーバ選択法
- キャッシュ状態を考慮したコンテンツ推薦技術
- 低信頼なエッジキャッシュを用いた高信頼なコンテンツ配信法
- スケッチを用いた低負荷・高精度なトラヒック測定技術
- ネットワーク内コンピューティングの資源割当技術
これらは、インターネットを「速く」「止まりにくく」「公平に」「効率よく」動作させるための基盤技術です。
ネットワークセキュリティ
インターネットは社会インフラとして広く利用されていますが、その一方で、DDoS攻撃、不正アクセス、キャッシュ汚染攻撃、プライバシー侵害、データ改ざんなど、様々なセキュリティ上の問題が発生しています。ネットワークサービスを安心して利用するためには、攻撃を早期に検知し、被害が広がる前に制御・防御する技術が必要です。
本研究室では、ネットワークやコンテンツ配信システムを対象とした攻撃の分析、検知、防御技術に関する研究を行っています。また、ブロックチェーンや分散台帳などを用いた安全な情報管理技術についても研究しています。主なテーマは、例えば以下のようなものです。
- DDoS攻撃をルータで高速に検知・防御
- キャッシュサーバの性能を低下させるキャッシュ汚染攻撃の検知・防御
- CDNのキャッシュサーバを騙ったDDoS攻撃の検知
- ネットワーク上の特定エリアを狙うクロスファイア攻撃の分析・防御
- 次世代の耐量子計算機暗号PQCの計算負荷量の解析
- 情報指向ネットワークにおけるアクセス制御技術
- ブロックチェーンを用いた耐改ざん性の高いデータ管理技術
- 複数ブロックチェーン間の安全な情報交換技術
これらは、人々がネットワークサービスを安全・安心に利用するために欠かせない研究テーマです。
低軌道衛星ネットワーク
低軌道衛星ネットワークは、地上の通信インフラが整備されていない地域や、災害時に地上ネットワークが利用できない状況でも通信を提供できる技術として注目されています。また、将来の6Gや非地上系ネットワークでは、地上ネットワーク、衛星ネットワーク、端末間通信などを組み合わせた新しい通信基盤が重要になると考えられています。
一方で、低軌道衛星は高速に移動するため、通信可能な時間が限られる、ハンドオーバが頻繁に発生する、利用できる帯域が限られる、衛星上のキャッシュやバッファをどう使うかが難しい、という課題があります。本研究室では、このような制約のある環境で、安定した通信や効率的なデータ配信を実現するための研究に取り組んでいます。主なテーマは、例えば以下のようなものです。
- 災害時を想定した地上・衛星・端末間通信のマルチパス配送方式
- Direct-to-Satellite IoTにおける省電力・鮮度適応型送信制御
- 疎なLEO衛星ネットワークにおけるDTNバッファ制御
- スマートフォンと衛星が直接通信するDirect-to-Device通信の優先制御
- LEO衛星に搭載されたキャッシュを用いたコンテンツ配信方式
- LEO衛星ネットワークにおける衛星選択・ハンドオーバ制御
- 複数の衛星ネットワーク事業者が連携する際の収益配分法
これらは、ネットワークを地上から宇宙へ広げ、災害時や遠隔地でも情報にアクセスできる社会を実現するための研究テーマです。
量子ネットワーク
量子コンピュータや量子鍵配送の発展に伴い、将来的には、複数の量子コンピュータや量子通信装置をネットワークで接続する「量子ネットワーク」が重要になると考えられています。量子ネットワークでは、従来のインターネットのように単にパケットを転送するのではなく、量子もつれや量子鍵など、量子通信特有の資源をどのように生成し、蓄積し、経路制御し、利用するかが重要になります。
本研究室では、量子ネットワークを安定・効率的に運用するための制御技術や資源割当技術について研究しています。主なテーマは、例えば以下のようなものです。
- QKDネットワークにおける鍵プール残量を考慮した経路制御
- QKDネットワークのデジタルツインを用いた異常検知
- 量子メモリの最適配置
- 量子ビット転送における経路選択法
- EPRペアを用いた量子通信の資源割当・制御技術
これらは、将来の量子インターネットを実現するための、非常に新しい研究テーマです。現在のインターネットとは異なる考え方が必要になりますが、その分、これから大きく発展していく可能性があります。
研究室配属後の成長イメージ
- B3秋学期: 研究室に慣れ、ネットワーク研究の基礎、プログラミング、シミュレーション、Linux環境を学ぶ。
- B3終わり-B4始め: 教員が提示する研究テーマ候補をもとに、希望を考慮して卒業研究テーマを決定する。
- B4前半: 関連研究を読み、提案手法・評価方法を検討し、小規模なシミュレーション・実験環境を構築する。
- B4中盤: C / Python、Mininet / CORE、Linux、P4、DPDKなどを用いて、提案手法を実装する。
- B4後半: シミュレーション、エミュレーション、実機実験により性能を評価し、卒論・学会発表論文にまとめ、国内学会で発表する。
- M1~M2: 研究を発展させ、より大規模な評価、実機検証、国内学会・国際会議・論文誌投稿を目指す。
研究テーマによって、シミュレーションを中心に評価する場合もあれば、P4スイッチ、DPDK、Linux、Mininet、COREなどを用いて、実際に動くネットワークシステムとして実装・評価する場合もあります。最初から高度な実装経験がなくても大丈夫です。基礎から段階的に学び、教員・大学院生・先輩と相談しながら研究を進めます。
研究室には、P4スイッチやサーバ、Mininet / CORE などの実験環境があり、今後はこれらを活用した実機検証を本格化していきます。そのため、Linux、サーバ構築、ネットワークプログラミング、P4、DPDKなどに興味のある学生には、新しい研究環境の立ち上げから関わるチャンスがあります。
ゼミ
上山研では、研究を一人で抱え込まないように、複数のサポートの場を用意しています。
- 進捗ゼミ: 学年別の4~6人程度のグループごとに開催します。上山は各学生と個別に10分~20分程度の時間をかけて打合せを行います。各学生に、自分が取り組んでいる研究の進捗を報告してもらい、上山が疑問点について回答したり、次に行うべきことを指示します。【1回/週の頻度で開催】
- 一般ゼミ: 論文紹介、発表練習、出張報告、1対1プレゼン会など多様な目的で実施しています。【1回/週の頻度で開催】
- シミュレータ作成演習: 3年生を対象に、C言語やPythonを用いたシミュレータの作成方法を勉強します。研究室の先輩が交代で、チューターとして参加します。【1回/週の頻度で開催】
- 勉強会: 3年生を対象に、卒論や修論に取り組む上で有益な理論や技術について勉強します。【1回/週の頻度で開催】
卒業生の主な就職先
本研究室を卒業した学生は、以下に示すような、大手通信キャリア、大手システムインテグレータ、大手ITベンダ、大手コンサルなど、ITの分野の多様な業界に就職しています。
- NTTドコモ
- NTT西日本
- ドコモCS九州
- ソフトバンク
- NEC
- 富士通
- 日立製作所
- アクセンチュア
- TIS
- 積水化学工業
- セイコーエプソン
- 大日本印刷
- 竹中工務店
以下のいずれかに該当する学生を歓迎します
- インターネット、クラウド、セキュリティ、通信、衛星、量子技術に興味がある人
- 実際に動くシステムとして、実機スイッチを用いた実装・評価や、国際テストベッドに興味のある人
- 「既に完成された環境で作業する」よりも、むしろ「新しいものを一緒に立ち上げる」ことに魅力を感じる人
- 卒業研究をしっかり進め、学会発表にも挑戦してみたい人
- 大学院進学や、IT・通信・インフラ系企業への就職を考えている人
- 最初は詳しく分からなくても、新しい技術を学ぶ意欲がある人