2023年7月ICM研究会で「NDNのAS間トラフィック削減のためのミラー動的配置法」というタイトルでサン・リフレ函館で発表してきました(CAO Xuheng)

はじめに

こんにちは.M2のCAOです.今回は2023年7月13日から二日間北海道のサン・リフレ函館にて行われたICM研究会に参加しましたので,その報告をさせていただきます.

研究概要

みなさんは普段よく配信サービスやSNSを利用してますでしょうか.おそらく利用しない方が珍しいでしょう.しかし,それほどの人数に利用されているサービスなのに,なぜか接続がとても軽いと感心したことはきっとあるんでしょう.

そういうことが実現できるのは CDN (Contents Delivery Network) という仕組みのおかげです.CDNはパブリッシャーの代わりに,ユーザの近くからコンテンツを配信する仕組みです.CDNを使えば,遅延が削減できるし,コンテンツの配信品質も向上できる上に,負荷分散も同時に実現できます.

と,ここまで褒めておいてなのですが,メリットがあればデメリットも必ず付いてきます.CDNの基盤となるTCP/IPはホスト間通信のために設計されたものです.そのため,異なるホストに配置される同一コンテンツの識別子が異なります.また,CDNサーバー間の通信はオーバーレイネットワークを利用してます.上述の原因で,CDNの構築コスト及び利用コストは高止まりです.

そこで本研究の対象となるNDN (Named Data Networking )の登場です.NDNはホストではなくコンテンツ名を識別子としてルーティングを行います.また,NDNにはネットワーク上のストレージを活用仕組みが付いています.NDNのルーターには一度フォワーティンぐしたことがあるコンテンツを一旦保存し,再び要求が来たら直接コンテンツを配信する能力が付いています.

しかし,こういうNDNにもまだ課題が残っています,それは自発的にネットワーク上のキャッシュを発見することができないことです.つまり,右の図が示した状況が起こり得るということです.

本研究はその課題に着目しています.本研究は前述の課題により引き起こしたAS間トラフィック量が高いという問題に着目し,言及したCDNのコンセプトを参考にして,自AS内に他のASの人気コンテンツをミラー化して,パブリッシャーの代わりに自AS内からコンテンツを配信する手法を提案します.

また,より現実に近いコンテンツ生成法を実装した計算機シミュレーションで提案手法を検証し,評価しました.結果として,提案手法を導入することにより,キャッシュヒット率の向上及びAS間トラフィックの削減が観測できました.

詳細については,論文を御参照ください.

感想

夏なのに北海道で学会を開催する理由を体感できました.気温がとても快適でした.また,今回の研究会の雰囲気はとても良くて,緊張せずに発表できました.

函館で滞在している間,いろいろ食べ物を楽しんでました.

初日の夜に先生と一緒にジンギスカンを食べました.また,翌日に街中でばったり出会った先生がとても豪華な寿司屋さんへ連れて下さって,奢ってくださいました.

他に,地元民がオススメのラッピーやスープカレーなども食べました.

観光は函館山の登山コースを体験しました.また,下山後の太陽の光がちょうどよく,一見アニメみたいな写真が撮れました.

今回の学会発表も楽しかったので,次回の学会発表に対する期待値が益々増えています.

最後になりますが,手厚いご指導いただきました上山先生と,研究室の皆さんに,心より感謝を申し上げます.今後も沢山発表に参加したいと考えます.

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