2026年3月NS研究会で「量子ネットワークにおける量子特性を考慮した多腕バンディットによる経路選択法」というタイトルで沖縄市町村自治会館で発表してきました(Kim Minkyu)

始めに

先進ネットワーク研究室M1のKim Minkyuです.2026年3月4日(水)~6日(金)に沖縄市町村自治会館で開催されたNS研究会で研究成果を発表してきましたのでその内容を報告します.

研究概要

量子通信を実現するためには,送信者と受信者の間でエンタングルメントを分配・確立する必要があり,マルチホップ量子ネットワークでは中継ノードを経由した遠隔エンタングルメント接続の確立が求められます.この問題はエンタングルメントルーティングとして知られていますが,量子状態のデコヒーレンスやBell pair生成の確率的性質により,古典ネットワークとは異なる動的な課題が存在します.

既存研究では,エンタングルメント生成に関する具体的な設定やデコヒーレンスによる品質劣化への考慮が十分ではなく,現実的な量子環境を前提とした適応的な経路選択手法は十分に検討されていません.

本研究では,MHPによる確率的Bell pair生成と2-Pool構造による量子メモリ管理を統合したProactive Link Preparationを基盤とし,MAB(Multi-Armed Bandit)アルゴリズムによる適応的経路選択手法を提案しています.離散Kraus演算子によるデコヒーレンス計算を導入し,NISQ環境を可能な限り再現したNetSquidシミュレーション基盤を構築しました.Waxmanトポロジ(20ノード,35リンク)での評価の結果,MABによる経路選択はベースライン手法に対して一定の優位性を示しましたが,同時にMABの構造的限界も明らかになり,今後の研究課題を得ることができました.

詳細な内容については以下のスライドをご参照ください.

感想

今回は風邪により喉が万全の状態ではありませんでしたが,18分間の発表を無事に進めることができ,幸いでした.前回の発表では緊張から早口になってしまいましたが,今回は落ち着いて自分のペースで進められたように思います.

質疑応答では多くのご質問をいただきましたが,一部の質問を正確に理解できないまま回答してしまった場面がありました.また,発表後に振り返ってみると,もう少し的確な回答ができたのではないかという心残りもあります.こうした経験を今後の発表に活かしていきたいと思います.

2026年1月ICOINで「Reliable Cache Control in Unreliable Edge Environments Using Reinforcement Learning」というタイトルで発表してきました(LI ZHENG)

はじめに

2026年1月15日にベトナムで開催されたICOINで「Reliable Cache Control in Unreliable Edge Environments Using Reinforcement Learning」というタイトルで発表させていただきましたのでその報告をさせていただきます。

研究概要

本研究は,不稼働率を有する低信頼エッジサーバ(ES)環境において,高信頼なコンテンツ復元を実現するキャッシュ制御方式を提案するものである。既存研究で導出された最適冗長度(HomoCP)を目標ヒット率へ変換し,LRU に基づく動的キャッシュ環境下で各コンテンツの挿入確率を強化学習により最適化することで,実際のヒット率を目標値へ収束させる。これにより,ES の可用率や人気分布(Zipf 分布)の変動を考慮しつつ,平均復元成功率を向上させることを目的とする

詳細については,以下をご参照ください.

感想

今回が初めての国際会議であり,ベトナムを訪れるのも初めてでした。また,ポスター発表も初めての経験でしたが,全体としてとてもリラックスした雰囲気で発表することができました。

参加者の多くが韓国や日本の学生・教授であったため,発表中の説明はほとんど日本語で行いました。これまでに何度も発表を経験してきたこともあり,比較的スムーズに説明することができたと思います。

もちろん,英語で質問してくださる方もいました。内容は理解できましたが,専門用語を英語でどのように表現するかを一瞬思い出せない場面もあり,少し難しさを感じました。

2025年11月 CCS研究会で「強化学習を用いた低信頼エッジ環境における高信頼キャッシュ制御方式」というタイトル発表しました。(金沢歌劇座)

初めに

私は新部君と一緒に、11月に開催されたCCS研究会に参加しました。
今回で学会への参加は2回目になります。前回と比べて、今回の研究会では、発表内容がより専門的であり、大変勉強になりました。

研究概要

本研究は,低信頼なエッジサーバ(ES)環境における高信頼キャッシュ制御方式を対象とし,Erasure Coding によるチャンク復元を前提とした上で,各コンテンツのキャッシュ挿入確率を強化学習によって最適化する手法を提案するものである。既存研究である HomoCP により導出される目標ヒット率を指標とし,実際のヒット率との誤差を最小化するように学習を設計することで,低信頼環境下においても高い復元成功率を実現することを目的とする。また,Zipf 分布に従って人気度が時間変化する動的環境下で評価を行い,提案手法の有効性と汎化性能を検証した

発表の感想

私は当日、2番目に発表を行いました。最初の発表者は教授のようで、発表内容も非常に専門的で印象に残りました。

会場で唯一の外国人としての発表でしたので、自分の日本語が十分に流暢ではないことを自覚しながらも、できるだけ分かりやすく伝えるよう心がけました。

今回の発表時間は前回よりも長かったのですが、初回の経験があったため、時間配分をうまく調整することができ、あまり緊張せずに発表することができました。

質疑応答の時間には少し苦労しました。質問の内容自体は理解できましたが、先生からいただいたご指摘は自分がこれまで十分に検討していなかった点であったため、即座に答えるのがやや難しく感じました。また、質問してくださったのは一人の先生だけでしたが、もしかすると私が困らないよう配慮してくださったのかもしれません。

全体として、多くのことを学ぶことができました。特に先生方からのご質問やご指摘を通じて、自分の研究の課題や改善点について、より多角的に考えるきっかけになったと感じています。

2026年2月6日に、NICT本部(東京都小金井市)のYRLミニ研究会に参加し、聴講してきました。

初めに

先進ネットワーク研究室M1のKim Minkyuです。2026年2月6日(金)にNICT本部(東京都小金井市)にて開催されたYRLミニ研究会に参加し、聴講してきました。会議の時間は午前10時から午後6時まで開催され、内容は量子鍵配分(quantum key distribution : QKD)、量子センシング、量子コンピューティング、量子メモリに関する最新の研究成果が発表されました。

研究概要

本研究会は午前と午後の2部構成で行われました。

午前セッション

午前のセッションでは、まずQKD(量子鍵配分)の全体像が紹介されました。QKDは文字通り量子鍵配分のための技術ですが、その特徴であり欠点でもあるのは、用途が量子鍵配分にしかないという点です。現状ではPre-量子インターネットとして位置づけられており、地上での伝送は量子リピーター(中継器)の実物がまだ存在しないため、光ファイバーの減衰による距離制約があります。そのため、現在は衛星を利用した通信の実現に向けた動きが進んでいます。しかし、全体像を見たとき、実物の量子リピーターが登場すれば、量子インターネットへの急転換が起こる領域であると考えられます。

次に、量子センシングに関する講演がありました。量子センシングは、量子コンピューティングや量子通信とは正反対のアプローチをとっており、デコヒーレンス(環境変化に敏感に反応する特性)を武器として活用し、観測に応用する技術です。量子分野(コンピューティング・通信・センシング)の中で、最も応用範囲が広い分野とされています。ただし、光が透過できない物体に対しては観測ができないという制約もあります。

午後セッション

午後のセッションでは、量子メモリと線形光学回路に関する講演がありました。

佐々木氏の講演では、光子ベースの量子メモリについて紹介されました。光子生成源としてSPDC(自発パラメトリック下方変換)が用いられ、GHz単位の出力が可能である一方、メモリの読み書き速度はMHz単位にとどまっており、この速度ギャップが課題として提示されました。コヒーレンス時間(T2)についてはms規模が可能であり、格納数は数十〜100個程度とのことです。T2延長のためのアプローチとして、磁気シールドによるゼーマン分裂の防止と、RF制御パルス(CP)による動的ノイズの補正が紹介されました。前者は外部磁場を遮断することでエネルギー準位の分裂を防ぎ、後者は時間変動する残留ノイズを補正することで、理想的な指数減衰デコヒーレンスに近づけるものです。

線形光学回路に関する講演では、ビームスプリッターと位相シフターによる量子計算が紹介されました。1量子ビットゲートはビームスプリッター操作のみで比較的容易に実現できますが、2量子ビットゲートではHong-Ou-Mandel(HOM)効果により干渉が確率的過程となり、成功と失敗が生じます。Bell測定においては、線形光学ではBell state 4つのうち最大2つしか区別できないため、BSM成功確率50%が理論的上限となります。自身の研究シミュレーションにおけるbsm_success_prob = 0.50は、この物理的限界に基づく設定であることが確認できました。

感想

本研究会は、自身の研究に対して、非常に有意義な機会となりました。

これまでWebでの調査を通じてパラメータの数値のみを参考にしていた部分について、本研究会を通じて確かな物理的根拠を直接確認することができました。特にBSM成功確率50%の理論的上限や、デコヒーレンスモデルの妥当性など、シミュレーション設定の正当性が裏付けられたことは大きな収穫です。

また、量子メモリの実現がまだ発展途上にあるという現実も確認できました。光子生成源とメモリ間の速度ギャップ(GHz vs MHz)や、T2延長のための技術的課題など、量子通信の各ステップにそれぞれハードルが存在しており、実用化にはまだ距離があることが明確になりました。

一点残念だったのは、量子蒸留(Distillation)や量子エラー訂正(QEC)に関する議論がなかったことです。自身の研究ではDistillationによるFidelity向上を扱っているため、この分野の最新動向についても聴講できればより有益であったと感じています。

2026年1月ICOINで「Name Resolution and Packet Forwarding in IP/NDN Mixed Environment」というタイトルで発表してきました(田中 晃平)

はじめに

2026年1月15日にベトナムで開催されたICOINで「Name Resolution and Packet Forwarding in IP/NDN Mixed Environment」というタイトルで発表させていただきましたのでその報告をさせていただきます。

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2026年1月 IEEE CCNC 2026で「Dynamic Content Recommendation Considering Cache State and Preference Using Reinforcement Learning」というタイトルで発表してきました (落合翔大)

はじめに

先進ネットワーク研究室M1の落合翔大です.

2026年1月9日-1月12日に,ラスベガスのFlamingo Las Vegas Hotel & Casinoにて開催されたIEEE Consumer Communications & Networking Conference 2026でポスター発表を行ったので報告させていただきます.

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2025年11月ACM Mobicom 2025で「Poster: Optimized Cache Pollution Attack: A DDoS Vector in Content Delivery Networks」というタイトルで香港ケリーホテルで発表してきました(Liu Jiaqi)

はじめに

こんにちは、先進ネットワーク研究室のM2のLiu Jiaqiです。

2025年11月4日~8日にで開催されたACM Mobicom 2025で発表したので参加報告したいと思います。

研究概要

本研究は、CDNに対するキャッシュ汚染攻撃(CPA)を攻撃者の視点から分析し、階層型キャッシュモデルと遺伝的アルゴリズムを用いて攻撃戦略を最適化することで、攻撃者がリクエストを巧みに配分してエッジサーバーの防御を回避し、少ないリソースでオリジンサーバーに深刻なDDoS被害を与え得ることを明らかにしました。

今回発表に使用したポスターはこちらからご参照ください。

LiuJiaqi_Mobicom2025_Poster

感想

このような世界トップレベルの会議で,イベントで教授が自身の研究の歴程を共有するのを聞いて、様々な学生や教授と交流できることは、たくさんのことを学びました。

会議で提供された食事はとても美味しかったです。:)

2025年3月総合大会で「量子ネットワークの動的経路選択法」というタイトルで、東京都市大学世田谷キャンパスで発表してきました(Kim Minkyu)

初めに

先進ネットワーク研究室B4のKim Minkyuです.2025年3月25日(火)~28日(金)に開催された総合大会のインターネットアーキテクチャ若手ポスターセッションにて研究成果を発表してきました.

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2025年10月NS研究会で「拡散レポジトリを用いたIPFS可用性向上技術」というタイトルで同志社大学の新町キャンパスにて発表してきました(WangShu)

はじめに

こんにちは,上山研究室M2のWangShuです.

2025年10月8~10日に同志社大学新町キャンパスで開催されたNS研究会にて発表しましたから,報告させていただきます.

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2025年3月NS研究会で「量子ネットワークにおけるMABを用いた経路選択手法」というタイトルで沖縄産業支援センターで発表してきました(Kim Minkyu)

初めに

先進ネットワーク研究室B4のKim Minkyuです.2025年3月6日(木)~7日(金)に沖縄産業支援センターで開催されたNS研究会で研究成果を発表してきましたのでその報告をします.

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