はじめに
2025年3月3日~3月5日に広島大学 東広島キャンパスで開催された電子情報通信学会 総合大会で「2つ以上のGWを介したIP/NDN間の名前解決とパケット転送法」というタイトルで発表してきたので報告させていただきます.
研究概要
コンテンツの名称で要求パケット(Interest) を転送することにより,IoTデータなどのコンテンツを効率的に転送可能な情報指向ネットワーク(ICN: information-centric networking) が次世代のネットワークとして研究されている.ICNのアーキテクチャの一つとして,特に研究が盛んに行われているものにNDN (named data networking) がある.NDNが実世界で実用化される際,NDNの普及過程においては,IPのAS(autonomous system) とNDNのASとの混在環境が生じるため,どのようにパケットを転送するかが課題となる.IP-AS内では,IPアドレスにより通信相手を指定しパケットの交換を行う.しかし,NDN-AS内ではInterestにより応答データパケットを要求するため,通信開始時に名前解決による通信相手の特定を行わない.したがって異種のネットワークを用いるAS間で通信を実現するためには,IPパケットとNDNパケットの相互変換を実現する必要がある.この課題に対して,異種のAS間の境界となるリンクにパケット変換機能を有するGateway (GW) を設置し,パケットのヘッダを書き換えることにより,IP-NDN間での通信を行う手法が提案されている.しかし,パケットのヘッダを書き換えるためには各パケットのヘッダに記載されているIPアドレスやコンテンツの名称に対して,それぞれ対応するコンテンツの名称やIPアドレスをパケット変換GW で管理する必要がある.そこで,本稿ではパケット変換GWによるパケット変換手法を,実際のIPとNDNが混在した環境で利用するためのパケット転送法を提案する.また,提案手法が通信時間に与える影響を計算機シミュレーションにより評価し,IPと混在している環境においてもNDNが効率的なコンテンツ配信に有効な可能性が存在することを示す.
詳細については,スライドや論文をご参照ください.
IA研発表_田中感想
