はじめに
2026年3月4日に沖縄で開催されたNS研究会で「ISP間の経済的公平性を目的としたパケットスケジューリング法」というタイトルで発表させていただきましたのでその報告をさせていただきます.
研究概要
インターネットは TCP/IP プロトコル群を基盤としたベストエフォート型のネットワークであり,基本的には通信品質が保証されない.そのため,トラフィックの増加に伴い遅延やスループットの低下が発生し,特定のユーザやサービス間で通信品質の不公平が生じることが課題となっている.
現在,アクセス ISP (Internet Service Provider) などのエッジ領域では,SPQ (Strict Priority Queuing) と WFQ (Weighted Fair Queuing) を組み合わせることで,パケットの優先制御やフローごとの公平な帯域割り当てが行われている.しかし,膨大なトラフィックが集中するバックボーンネットワークにおいては,フロー単位での詳細な制御を行う WFQ の実装は計算コストやスケーラビリティの観点から困難であり,一般的に QoS クラス単位での大まかな制御に留まっている.
一方,バックボーンネットワークを構成する ISP 間では,下位 ISP が上位 ISP に対して利用帯域に応じたトランジット費を支払っている.しかし,現状のクラス単位の制御では,この支払額の差異が帯域割り当てに反映されておらず,高額な接続料を支払っている ISP とそうでない ISP との間で,費用対効果の観点から不公平が生じている.
そこで本稿では,ISP 間の経済的な公平性を実現するために,バックボーンネットワークにおいて Deficit Weighted Round Robin (DWRR) を用いた新たな帯域制御方式を提案する.
提案手法では,各 ISP が支払うトランジット費に基づいて DWRR の重みを決定する.これにより,より多くの接続料を支払う ISP に対して大きな重み (quantum) を設定し,優先的に帯域を割り当てることを可能にする.
DWRR は不足カウンタ (deficit counter)を用いることで,可変長パケットであっても計算負荷を抑えつつ重みに応じた公平性を維持できるため,高速なバックボーンルータへの実装に適している.
提案手法の有効性を検証するため, 異なるトランジット費を設定した複数の ISP が接続するネットワーク環境を模擬し,提案方式によるスループットの配分効果を評価する.
詳細については,以下をご参照ください.
佐野愛莉_NS研究会感想
初めての学会発表でどのような質問が来るか不安でしたが, 落ち着いて発表することができました. 沖縄の観光地やグルメも楽しむことができました.

