はじめに
2025年10月10日に京都府京都市の同志社大学で開催された電子情報信学会NS研究会にて「IPFSにおけるSybil攻撃のオンデマンド検知」というタイトルで発表させていただきましたのでその報告をさせていただきましたのでその報告をさせていただきます。
研究概要
現在の Web は情報へのアクセスにロケーション指向型の仕組みを用いている。この方式では情報を提供するサーバの管理者に大きな責任と権限が集中し、管理者の判断で情報を削除・改ざん・検閲することが可能である。結果としてインターネット上の情報が一部の巨大プラットフォームに支配される状況を招いている。こうした集中管理の課題を根本から見直すために登場したのが IPFS(InterPlanetary File System)である。IPFS は P2P ネットワーク上で動作し、各ノードが自律的に情報を保持・共有する分散型の仕組みを採用している。これにより中央集権運営に依存せずに情報を管理できるため、検閲や改ざんに強く、障害への耐性も高いという特徴がある。しかしながら現行の IPFS プロトコルは Sybil 攻撃に対して脆弱である。Sybil 攻撃とは偽のノードを大量に生成してネットワークを攪乱する攻撃である。このような攻撃が発生すると、攻撃ノードによって正当なノードへのルーティングが妨げられ、実質的な検閲が可能になる。そのため本研究は、IPFS における Sybil 攻撃を要求に応じてオンデマンドに検知する手法の確立を目指し、攻撃の特定手法を検討する。提案方式は、ユーザのコンテンツ取得要求をトリガとして周辺ピアの計測を起動し、応答したノードの Peer ID 分布を XOR 距離空間で解析するものである。正常時には CID 近傍の PID はおおむね均等に散らばる一方、Sybil 攻撃下では偏りや分布のエントロピー低下が生じる。この差異に基づき、基準分布からの乖離度を指標として異常を判定する。さらにオンデマンド検知の性質上、コンテンツ人気度により検知率・検知コストが変動するため、その影響を評価し、効率的かつ有効な Sybil 攻撃の検知法を提案する。
詳細につきましては、下記スライドをご参照ください
2025_10_ns研究会_姫野貴一-1感想
今回、初めて学会に参加し緊張しましたが、貴重な経験となりました。
他の発表者の研究内容を拝見し、多くの刺激を受けました。
今後の研究活動に活かしていきたいと感じました。
